あしたのあなたへ

武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部 渡辺昇名誉教授

 知識より教養を。

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身につけてほしい3つのこと

 実社会に出ると、「やる気があった」や「運があった」などということが、いまだに成功した要因として考えられています。私は実業の世界にいたのですが、このような成功の原因に関して経験則だけで語られている風潮には問題があると考え、理論的に成功なり、失敗なりの原因を導く方法論を見つけ出したいと考えて、教育研究の世界に入ったのです。

 そこで私が見出した一つの考えが、「How to主義」では長続きしないということです。よく「マニュアル人間は成功しない」と言われますが、それも同じようなことを意味しています。「How to主義」とは、すなわち、目の前にある事象に、何のためにそれを行うのかという深い思考をしないで、安易な方法のみで、簡単に成果を得ようとするもので、この考え方では成長に限界があります。

 でも、みなさんも薄々感じていると思いますが、これから起きることは、過去に起きたこととは異なります。また、もし同じようなことが起きたとしても、そのことが起きた原因が一緒かどうかはわからないわけです。だから、本当は「なぜ成功したのか」の原因を突き詰める必要があるのです。そうせずに現象の表面だけを見ていたのでは、成功への真の方法論はつかめません。

 では、そのためにはどうすればいいのか。成功した過程や起きた事象を分類して、整理し、意味づけて、そこから共通する事項を集めて体系化し、仮説を立ててそれを実際に行ってみて、再度のその結果を検証する。これを繰り返すことで理論化され、体系化できるのです。

 大学時代は社会人としてのfundamental(基礎)を身に付ける場だと私は思っています。ですから、いわゆる知識の集積だけではなく、教養を身につけてほしいと思っています。なぜ、それが必要なのか。それは前に触れた、「分類、整理、体系化」するためには、いろいろなことに関する教養をもっている方が、多様な見方ができ、より本質に近づけるためです。

 難しいことを話してきましたが、私が学生によく言っているのは、「コミュニケーションツールとしてのインターネットの習得」、「語学(特に英語)」、「どんな環境にも対応する柔軟性(海外での生活など)」の3つを大学時代に身に付け、視野を広げろと言っています。あとは教養を身に付けるためにさまざまな体験をすること。たとえば大学の講義でも、学ぶ者の姿勢一つで、思わぬ教養を身に付ける機会になるのです。ただノートを取って、覚えて、試験の答案を書くだけでは教養は身に付きません(実はこれもやり方次第ですが)。

 本学であれば、海外研修プログラムなども活用するには絶好のツールだと思います。

 大学時代にどれだけ自分を豊かにできるか。これがみなさんのその後の人生を大いに変えてくれます。貪欲に教養を身に付けてみてください。