解説〜モンゴルのやきもの
館長 室本 弘道
おそらくモンゴルのやきものについて書いた人はいないのでは無かろうかと推測します。
なぜなら、モンゴルにはやきもの文化など無いからです。中国の強い影響を受け、互いに関作(かんさ)しあった歴史から、一部の金持ちの中国製陶磁器コレクション以外には、モンゴルでは日用雑器が近年細々と焼かれたものと考えられます。
このような工場がウランバートル市内(シャーザン窯)にありましたが、二〇〇〇年に倒産し、その工場の製品を観光客向けのみやげとして今売っています。
一般的に、この国の土産の多くは骨董品であり、埃に塗れた商品の新旧を判別することはとても難しいことです。またどこの土産屋でも同じものを売っているわけでなく、特にやきものについては、そこの店にしかないものばかりで、タイミング良く買う必要があります。
比較的入手しやすいものから紹介しますと、大小の馬の絵が書かれた極彩色の茶碗(絵付どんぶり・絵付飯碗)と石膏製の面-この国の多くの寺院では、優しい観音様と怖い観音様のペアがある-があります。また明らかに日本人向けのものにモンゴル相撲と日本の相撲の力士がペアになった人形陶器がありました。さらに運良く入手できたと思えるものに、男女モンゴル民族人形や明らかにロシアの影響(グジェリ焼)を受けたチンギス・ハーン絵付ポットがあります。
現在のモンゴル国は明らかにロシアの影響が強く、首都ウランバートルやダルファン州では中国語を聞きませんでした。その代わりロシア語と英語が使われていました。
誇り高いモンゴルは中国・清朝にはじめて征服されたこと、また同朋の住む内モンゴルを中国に分割され奪われたという思いの強さが反中国感情につながり、中国人は、日本人に比べ人気が無いようです。
モンゴルに行く前は、市場は中国産の日用品で溢れていると予想していましたが、以外に少なく、韓国産(パソコン・テレビからティシュー・カップラーメンまで)が目立ちました。
改めて世界構造の複雑さを感じる旅となりました。