解説〜台湾のやきもの
館長 室本 弘道
「台湾のやきもの」と聞けば、歴代中国王朝の寶物を展示した故宮博物院を誰もが思い浮かべるに違いありません。これらの寶物の一部はレプリカとしてミュージアムショップで購入できます。
ここの展示物は日中戦争の最中、中国・蒋介石軍によって南京などへ秘密裏に運ばれ、ようよう戦禍を逃れてここ台湾の故宮博物院で楽しめることは、よく知られています。
以下現代の台湾陶磁器のお話をいたします。
台湾は日本の統治下において強く日本の影響を受け、それを現代に生かしているところも多い国です。その一つに日本が積極的にてこ入れし、作り上げたといわれる台湾の景徳鎮と呼ばれる「鶯歌-インゴーと読む-」があります。
台北の玄関国際空港である中正空港からタクシーで二千五百円のところにそのやきものの都があります。思っていたよりもはるかに大きな町で(苫小牧から出掛ければ当然だと言う勿かれ)、街路の両側にいわゆるやきもの屋さんが立ち並びます。磁器の中国江西省・景徳鎮あるいは陶器の中国江蘇省・宜興の光景にそっくりです。
この街の最盛期はやはり戦前だったとのことです。
台湾を代表する作家の工房もやはりこの街にありました。二〇〇一年の夏は滞在型の台風被害に直撃されましたが、工房はすでに活気に溢れていました。
松皮樹を得意とする林榮華氏の作品(松皮樹中壷・條痕釉黄茶釉長花瓶)と、芸術作品をいつも追求してきた張合斌氏の作品(染付龍・染付縁起瓢)をご覧下さい。
台湾のやきもの全体を掴むため、かつて台湾中を旅行したことがありましたが、結局は台北にある政府系の有名な土産屋「中華工藝館」でチェックした結果、九十五パーセントが鶯歌産で、残りは芸術性の高いものが台北市内付近の窯で作られているようです。
鶯歌が生み出した傑作の一つに、目下日本国内でも北海道旭川を代表する窯である渓雪窯や大雪窯(結晶釉ぐい呑・雪結晶茶碗)などで作られている結晶釉作品があります。
しかしこの台湾・鶯歌も中国の安い労働力にはかなわず、景徳鎮産や中国広東省の佛山産のものがOEMブランドで売られています。
また、今日の台湾焼を代表する綺麗な交趾焼-歴史的には中国のもの-は台北近郊で作られています。