本学では地域の皆さまが知的好奇心を満たし、
豊かな発想を得る機会を提供することにより、
地域の発展に貢献するべく、「公開講座」を開講しています。
例年は10月に開催していた本講座ですが、
今年度は時期を変え8月5日(水)に午前の部・
午後の部として2講座を開講しました。
午前の部は武蔵野短期大学教授の成瀬雄一先生による「
子どもの行動を読み解く~心理学で学ぶ家族、
保育者のかかわり方~」です。
心理学のむずかしい専門用語を、
なるべくわかりやすい言葉に言い換えたクイズ形式で一つずつ受講
者のみなさんの進度をみながら、
ゆっくりと講義が行われていきました。冒頭に置かれたのは、「
子どもの発達は、年齢がくればひとりでに進んでいく」、◯か×かと尋ねるクイズ。
手元のシートに回答を済ませた受講者のみなさんの様子を見てから
提示された成瀬先生からの回答は、「半分◯、半分×」
とのこと。「子どもの身体の成長」に限れば◯と言えるものの、「
自転車に乗る」
など一定の環境と経験がないと発達が進まないものもある点で、「
経験に基づく発達」に限ればこれは×と言える。この講義では、
この「経験に基づく発達」、つまり「
どんな経験があるとどんなことができるようになるのか」
という子どもの発達の見方について説明していきますと、
今日のテーマが印象的に示されました。
発達には「自分の足で立つことができる」といった子どものポジティブな発達だけでなく、発達したことで「一人でどこかへ出掛けてしまう」など困った行動をよくしてしまうネガティブな発達があること。そしてポジティブ・ネガティブを問わず、発達していく(=経験を通じてひとりでにできるようになる)行動の背景にあると分析されてきた4つの「理由」──気づいてほしい(注目)、手に入れたい(要求)、やめたい・逃げたい(回避・逃避)、感覚が心地よい(感覚)──と、その「理由」を読み解くツールについて、日常よくある事例をもとに説明がなされていきました。
子どもは無法者なのではありません、必ずその行動には「理由」がありますという、実践者・実務者に限らず市民社会を生きる人々にとって大事なメッセージで、講義が終えられました。

午後の部は武蔵野学院大学非常勤講師の小島英明
先生による「美文
字講座(ペン字)
」です。
5000年も前に中国大陸で発明された「漢字」は、
日本列島や朝鮮半島を含む東アジアだけでなく、
インドシナ半島など東南アジアの地域で活用され、「漢字文化圏」
として現代に息づいている。
これほど古代に発明された文字が現在も使われているのは、この「
漢字文化圏」のみなのですという、
私たちの日常に息づいている漢字文化の壮大な歴史についてのお話
から、講義は始まりました。続いて、漢字には「六書」(りくしょ)と言われる、
文字の成り立ちを分類する六つの形式があることについて説明がな
されていきました。もののかたちを模って作られた「山」「川」「
人」といった象形文字に、形として表現しにくい「一」「二」
といった数や「上」「下」
といった動作を点と線で表した指示文字。
この二つの類型を基本として、木に寄りかかった人のかたちをかたどることで「休」、窓に月の光が差し込む様子をかたどることで「明」、目と人の象形を組み合わせることで「見」などの意味を生み出した会意文字など、より複雑な字のつくり方についての解説がなされていきました。
こうした文字のつくり方についての解説をもとに、なぜ「行」という字に複数の「音読み」があるのか、なぜ「右」と「左」の書き順には違いがあるのかといった、小学生時代からおそらく多くの人が感じてきた素朴な疑問への答えが次々に示されていきました。
またペンや筆で書くときに用いる「書体」としては正しい書き方が、印刷物に記載された「明朝体」が正しいと思われることで誤解されることがあるなど、賞状などを手書きで作成してもらいたいと依頼された経験のある先生ならではの経験談も交えて講義が進んでいきました。
そしていよいよ美文字講座が始まると、小島先生が事前にお手本として作成されていた、受講者の方のお名前を記した文字サンプルが先生より配布されました。硬筆で書くときによく用いられる格子のプリントに、お手本を見ながら一筆一筆、自分の名前を記していきます。
格子の間の、どのあたりから線が始まり、どこで終わるのかを確かめながら、美しく書こうと思うスイッチを入れて書くことが大事ですと、小島先生からのアドバイスをいただきながら講座は終了いたしました。